第九話【からかい】


とりあえずピットに言われた通りに風呂に入る為、ベッドから立ち上がろうとしたが「ちょっ!ダメです!」とピットに遮られたので仕方なく またベッドに腰を下ろして「何で。」と不満げに聞くと「だ、だってリンクさん、その…、服、着てないじゃないですか…。」と俯きながら消え入りそうな声で言ってくる。(…確かに その通りだけど 昨夜の情事の際に色々と見てるんだから もう今更だろう)と俺は思うのだがピットは そうでないらしい。手近にあったシャツを着せようとする。それが、焦っているのが手に取る様に分かる程 拙くて(何だか可愛いな…)と思うと同時に少し虐めてみたくなり、「服くらい一人で着れるから。」とピットの手をはねのけて とりあえずシャツの上だけ着て立ち上がるとピットが赤面して俺に背中を向けて しゃがみ込んだ。予想通りの反応が面白く、「ピット?どうしたんだよ。」と ワザと こっちもしゃがんでピットの顔を覗き込むとピットが更に顔を赤くして またもや予想通りの反応をしてくれる。「あぁぁ、あの、その格好で 居られると…、ちょっと、ヤバいです…っ」「“ヤバい”って何が?お前が服着ろって言うから着たんじゃん。」ピットが言う“ヤバい”の意味は何となく理解できたけどワザと問い詰めてみる。(俺ってSっ気 あったんだな)とか思いながら。すると もう限界とでも言う様に「あぁ、もう、早く お風呂に入ってきて下さい!」そう言うとピットは立ち上がり俺の腕を掴んで風呂場の方へ歩いていく。何だか いっぱい いっぱいな様子が可愛らしくて、クスリと笑むと ばつが悪そうな声音で「…もう、あんまり からかわないで下さい。」と言われたが…(これは もう、やめれそうにないな…)


―短い廊下を半ば引きずられる様にして、風呂場に着いた。ので(?)もう少し からかってやろうかなとピットに視線を向けると これ以上からかわれるのは御免だとばかりに「それじゃ、僕はシーツ洗ってきますんで!」と足早にベッドルームに戻ってしまった。「ちぇ、もう少し可愛がってやろうと思ってたのに。」と呟きながらシャツを脱ぎ風呂に入る。(てか本当にシャツの意味ないな。)思ったが もう声にには出さなかった。


続く




今回は少し文字数が余ったので後書き(?)してみます。

あるふぉちゃんからのコメを見てヤっちゃう系のルートも考えましたけど あえてヤらない系(?)に しました。少しリンピト風味になった。